『オツベルと象』は宮沢賢治の短辺童話であり、『注文の多い料理店』同様、生前に出版された唯一の短編集となっております。
学校の教科書にも指定されている童話でもあるため、読まれた事がある方は多いかもしれません。
僕自身に関して言えば、小学校低学年の頃に習ったものの未だに覚えている作品であったとも思えます。
特に「グララアガア」といった特徴的とも呼べる象の鳴き声や、「ビフテキ」「オムレツ」「サンタマリア」などといったワードの数々は作品を印象深くさせるものとなっています。
大人になった今なお感じてしまうように、この物語を読み返すと当時の印象的な言い回しや、言葉の数々が脳裏にフラッシュバックされてくる程です。
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オツベルと象あらすじ
この物語は「ある牛飼い」が語り部となって展開される形式となっています。
物語のタイトルにもなっている主人公オツベルは、稲作で使用するための新式稲扱器機を6台も取りそろえるような大金持ちの大地主。
そんなある日、農作業中のオツベルの元に一頭の白象が迷い込んできてしまいます。
白象は森からやってきており、鶯(ウグイス)のようなきれいな美声の持ち主。
とはいえ、象である以上なにをするか分かったものでは無いので、オツベルの元で働く百姓達は、皆ぎょっとしつつも象と関わらないようにするため自分の仕事に専念しています。
そんな百姓たちの緊張をよそに、象は稲扱器機の前にのこのことやってきます。
そしてオツベルも覚悟を決め、象に話しかけようとした矢先、象がまるで鶯のようにきれいないい声で話しかけてきました。
象はなにやらオツベルの仕事場に興味を示していたようで、これをいい事にオツベルは象を奴隷として働かせようともくろみます。
オツベルはとても頭のまわる人間で、すぐさま象を上手く手なずけてしまい、水汲みや薪などを運ばせて働かせます。
さらに象が逃げ出さないよう、足に100キロの鎖を付けて逃げ出さないようにしたり、エサを徐々に減らしていくなどをして手なずけていきます。
しかし、オツベルがあまりにも酷使してくるため、象は徐々に笑わなくなります。
象はフラフラになりながら苦しみ、徐々に藁を食べなくなってしまいます。
ある晩象は月にお願いし、赤い着物の童氏づてに仲間に助けてもらうよう頼みます。
白象が苦しんでいる事を聞きつけた他の象達は皆怒り狂い、「グララアガア、グララアガア」と叫びながら仲間の元へと飛び出します。
怒り狂った象達はオツベルの元へと一目散に突き進む一方で、昼寝中だったオツベルは目を覚まします。
しかしオツベルはそれを予期していたかのように冷静です。
この日が来ることを想定していた事もあり、空腹で身動きを取れなくするため予め白象のエサを減らしていたのです。
そしてついに仲間の象達は白象の居場所を突き詰め助けようとします。
一方でオツベルも躍起になっており、たった一人塀の中で叫んでいます。
持っていたピストルでオツベルは突進してきた象達を撃ちますが、象の牙に当たって跳ね返ってしまい、象の突進を止める事無くあえなくクシャクシャに潰されてしまいました。
そんなオツベルを見た象はどこか寂し気に笑っていました。
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読後の感想
『オツベルと象』は冒頭でも語りましたが、僕がまだ小学校低学年の頃に国語の教科書に掲載されていたのを思い出します。
まだ幼心でありながら今なお印象に残っている作品であるという事は、何か特別な意味があるのかもしれませんね。
まぁ、僕自身当時は国語が大の苦手であったのですが、それにも関わらず記憶に残っているという事は宮沢賢治の世界観がそれだけ際立っていたからに他ならないのかもしれません。
最終的に白象は仲間の象達に潰されてしまったオツベルを見ながら憐れんでいるようにも思えますが、どこか悲し気な印象も個人的に受けてしまいます。
あなたはどうでしょう?
これを教訓と捉えるか同情と捉えていくか、実際に読んでみて考察を巡らせてみてはいかがでしょうか?
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