これからデッサンをする上でこれまで僕が実践をしながら気をつけてきた事を
初級〜上級にかけてまとめていきたいと思います。
「デッサンが下手だけど上手くなりたい」
「もっとカッコいい絵を描きたい」
そんな方に読んでもらえればいいかなと思っています。
今回は初級編の全編という事で、基礎を2回に分けて解説をしていきたいと思います。
デッサンの基本は『観る』ことから始まる
もうこれは基本中の基本と言っていい事だと思います。
実際に描く事よりも、観察する事の方が勉強になるんですよね。
そしてじっくり「観察」という行為を経て
五感を使って主に目から情報を仕入れる(インプット)
から
実際に手を動かしてデッサンをする(アウトプット)
という過程が大事だという認識を持っておいてください。
ある程度見る目を養ってくればあとはひたすら手を動かしていく事になるのですが、
それでも何度も見返していく必要があるので怠らないようにしておきたい所です。
気付かぬうちに描き込んでいく事によってあれよあれよと構造が変わっていき、
最終的に違和感のあるデッサンになりかねませんからね。
おいしいお味噌汁を作ろうとしても、
味見もせずに少しずつ足していったらしょっぱくなってしまいますよね?
それと同じで描くたびに一回一回よく観ながら描き込んでいく事が大切です。
観察する力がついてくれば自ずとデッサンの仕方も変わってくるので、
いかにモチーフ(描く対象物)から情報を読み取っていくかが上達のカギとなります。
勉強をするにしてもただ闇雲に暗記するのではなくて、
問題から得られる情報をいかに読み解いて答えていくための
読解力が必要となってきますよね?
実際、僕が通っていた予備校の絵が上手い人達の半分くらいは勉強も出来ていたので
『勉強が出来る=絵も描ける』
と言ってもある程度はいいのかなと思いますね。
もちろん、勉強が苦手でもべらぼうにうまい人はいたので、
それはもはや才能としか言えない人もいました。
ただ、少なくとも上位クラスの美大に入る人は勉強もできる頭の良い人が多かったです。
リンゴがきちんと描ければ描けないものは無くなる!?
これは僕が予備校生の頃に良く言われていた事です。
当時は「はぁ?」という感じでしたが今思えば「なるほどな」と思わされています。
というのも、デッサンの基本の型を学ぶ上ではリンゴというアイテムは
デッサンをする上でとても必要な要素が凝縮されているのです。
これを疎かにしていると絵を描いた後大変な事になってしまうので
意識するようにしていてください。
こういった自然物のモチーフは、均質なカタチである人工物に比べ、
凹凸があるのでその分描き応えがあります。
自然物=不規則なタッチ
人工物=規則的なタッチ
という風に描き分けておく方が良いでしょう。
リンゴの構造を意識する
家を設計する際にも設計図が必要となります。
実はデッサンにおいてもそれは言える事で、
絵を描く上でモチーフの構造をきちんと理解しておかなくてはなりません。
たとえば、構造も理解せずにリンゴを描こうとするとこのようなカタチになってしまいます。
これだとなんだかおかしいと思いませんか?
へたが付いているのでかろうじてリンゴのように見えなくは無いですが、
これだとデッサンというよりもどうしても記号のように見えてしまいます。
あるいは、リンゴというよりもなにか違う球体の物体に
棒みたいなものが付いているような..(例えが思いつきませんでした)
「これはリンゴです」と胸を張って言えるようなデッサンではないと思います。
「別にリンゴでなくてもいいよね」と言われてしまうのがオチになってしまいますね。
これをリンゴと言い張るにはちょっと無理があると思いますよね?
「マル描いてちょん」ではリンゴを描いた事にはなりません。
では、どうすればリンゴを上手に描けるのかを一つずつ説明していきたいと思います。
リンゴの構成のヒントは五角形
人体にも骨があるように、リンゴにもそのものを成り立たせる骨格(ルール)
というものがあります。
これはリンゴに限らずとも自然界において存在するもの全てに共通して言えるので
まずは抑えておきましょう。
触ってみる
リンゴを地面と水平にまっぷたつに切ると円形ではなくて
少し角張っているように見えてくると思います。
実際に触って確かめてみると分かるかと思いますが、
球体である野球ボールなどとは少し違うカタチだという事が分かってくるはずです。
そして、その角張っている箇所を点として捉えていって線で結んでいくと
五角形というカタチが見えてきます。
(この状態から)
(このような五角形が見えてくる)
リンゴの場合、この「五角形」というルールが全てに当てはまるので、
この事を頭に入れながら意識して描くように心がけましょう。
(実際に、中身を透かして見るとこのようなカタチになってきます)
このように構造を捉えた上で、カタチを捉えて描く点や線の事を「アタリ」といいます。
実際に色を塗っていく前にこのアタリを確認する事で
きちんと確認を取るようにしておきましょう。
デッサンをしながらでもこういった目に見えない箇所まで
ちゃんとイメージをしながら描くのが望ましいですね。
影までイメージ出来たらなお良いです。
色を塗るイメージ
実際に色を塗っていく際にも、ただ闇雲に色を塗ろうとしてしまうと
色面バランスが悪くなってしまう事があります。
ただ、今回は面で色を塗るよりも線で色を塗った方が簡単なので、
線で塗るイメージをお教えしたいと思います。
上から下に線を描いていく
図のように、先ほど言った五角形を意識して放射状に線を足していきましょう。
基本的には「面を素直になぞる」ことで立体感を出しやすいので、
まずはこの描き方を頭に入れておいてください。
それを踏まえた上で線で色を塗るようなイメージをしてください。
そうする事で色のバランスを整えやすくなるので、
初心者から上級者の方にとって使えるテクニックとなっております。
この際に、筆圧を変えていく事で白・グレー・黒へとグラデーションを変えていく事が出来ます。
もちろん、最初は筆圧を変えて描くという事は難しいと思うので、
色の濃い部分を徐々に濃く重ねていく事が良いです。
ここで初心者の方が見落としがちな部分は、見えない箇所への配慮となります。
「目に見える場所だけ描いていればいい」
というのはダメなパターンで、実際にはリンゴの裏面というものも
この世の中に存在をしているのできちんとそれを意識して踏まえた上で描いておかないと
出来上がった際の完成度に差が出てしまいます。
デッサン初心者と上級者の差はまずここで開くのだと思いますね。
目には見えない回り込んだ先まで意識を巡らせる事が絵を上達させる方法です。
それでは今回はここまでとさせてもらいます。
また次回以降に【初級編後編】を解説致します。
おススメ参考書
ついでに、デッサンをする上で参考になる書籍を紹介しておきます。
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